ACT:5

 

 

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GLAY JIRO CREATION INTERVIEW

JIRO

”手作り”ゆえの責任

GLAYがEXPO'99 SURVIVAL"について語る時、必ずといっていいほど登場する”手作り”という言葉。

これは、ピュアな発想や制作に注いだ熱意を表すだけの言葉ではなく、裏側に揺るぎない責任感を抱えているのだ。

自信を持って行動するために背負う責任。

メンバー及びスタッフのこの自覚なくして、あの日の幕張メッセは20万人の観客を迎えていなかったであろう。


JIRO GLAY インタビュー:田家秀樹

 

__どうですか?あれから1ヶ月経って感じることというか。

 

「その後ですか。どうだろうかなー。まだ余韻が残っているんでしょうね、多分。

なんだかよく分からないけど、また、GLAYブームみたいになってるじゃないですか、世間が。

俺らもそれに乗っけられてんのかもしれないけど、まだどこかポアツとした感じがあるかもしれない。

まだ活動としては、レコーディングとかしかやってないからかな」

 

__終わってからしばらく休めた?

 

「うーん、とはいえ3日ぐらいだったと思うんですけど。

レコーディングのスケジュールが結構ヤバクなってきたんで」

 

__新聞の記事とかそういうの見たときにはどういう感じだったんですか?

 

「親が遊びに来てて、次の日に買ってきてくれたんですかど、

またステージから見る感動とは違った感動がありましたよね。

テレビとかもそうだけど、やっぱり、俺らの見えない範囲のところまでちゃんと映像そして残っていたんで。

やっぱりあの、4時半になって始ったときの、入れなかった人のがっかりした顔とか、そういうのとかも見れたんで」

 

__テレビなんかでステージが映ってて、そこにいる自分のこと見てどうですか。

 

「いや、自分とは思えないですよ。やっぱり、なんだろうな、あのかっこしてないと、

あれだけのパフォーマンスはできないっていいますか、普段のこの私生活で飲み屋に行っても

バカやってるわけもないし、それもできないし、やっぱり衣装着てああいうキャラを自分で

作ってるからできるのかなと思って、変に再確認したりとかしてましたよ」

 

__ステージに立った瞬間の見え方っていうのは今どういうふうに思います?。

 

「うん、まあ想像はできた光景ではあったけど。前日もリハーサルやってて、

そこでびっくりはしてたんで。あの駐車場のスペースは見たことあったんですよ。

bayFMにキャンペーンとかでいくと、すぐ下に駐車場が見えますから。

それよりびっくりしたのはお客さんの一体感。

あれはびっくりした。

 「誘惑」のときにすごい思ったんだけど、わーすげえって言ったのがモニターに映ったって

ファンの子に言われたんだけど、そのくらいすごかった、とにかく。

もうオープニングからすごかったんだけど「誘惑」のとき特にすごいなあと思った。

後ろのほうまで盛り上がっているなあと安心しましたね」

 

__センターステージからだったらいちばん後ろまで見えるんでしょ?

 

「いや、メインステージからでも見えた。表情とかはもちろん分からないけど、

手の振りとかのってるっていうのはわかる。

いや、俺、絶対いちばん後ろまで盛り上がらないと思ってた。

それこそ安比高原じゃないけども一番後ろの人はシートでも敷いて、

お茶でも飲みながらのんびり自分のペースで見るのかなと思ってたから。

そのくらいの気持ちでいたから、舐めてたなっていえば、舐めてたかなと思って」

 

__リハのときはお客さんがいない、まったくの無人空間なわけでしょ?

ここにお客さんが本当に一杯になるんだろうかっていう気分にはならなかったですか?

 

「うん、あったあった。ほんとにいちばん後ろまで入れてると思わなかった。

宣伝的な見せ方でソールドアウトって言って、

実は後ろのほうとかあいてんじゃないかと思ってたけど、ほんとにビッチリだったから」

 

___そういう意味でも予想を上まわる成功だったという感じですか。

 

「いや、ほんとに今回の20万人ライブってスタッフもお客さんも含めての成功だと思うから、

俺は20万人やったからっていって、浮かれた気分でいてはいないかもしれない。

なんか、やった感はあるけど、20万人やったからもう何でもありだっていうのとは違う。

あれはほんとうにお客さんがいてスタッフの陰の努力が

すごいたくさんあったからこその結果だと思っているから、

それこそ、関係ないけど、

明日40万人ライブやってくれって言われても「なに言ってんですか」って感じですよね。

 

____ありましたよね色々。

 

「その話はちょっとね。ただね、1個いい話を聞いたのは、

僕の大親友のデザイナーが『いやー、今回のタイトルは成功だよね、

サバイバルってつけたのは成功だよね、あれがなかったらファン絶対怒ってた』って」

 

_____みんなが、サバイバルするっていう

 

「もう駅から会場に行くまでにその中ですごいサバイバルがあって、

そんでもない炎天下の中、何時間も待たされて駅から会場着いたとか、

でもみんながそこで多分、

これはサバイバルだから怒ってもしょうがないとかっていう気持ちでいたから

パニックにならなかったんじゃないっていう話を聞いて、なるほどなと思って。

結構安易につけたのが大成功だったなと思って」

 

____ホテルのメイク室から外が見えて、みんな並んでるとこととか下に見えたでしょ、

あれ見てるときとかどういう気分だった?

 

「でも、その時はすごい興奮した。やっぱり20万人っていう数って想像できなかったし、

駅から会場まで流れが止まってしまって、何分見ても同じ状況だったり、

あの日傘さしていた人が全然動かないとかね、何十分たっても動いてないとか、

これはどうなるのかなとか思ったけど。

でもその何時間後かにはいきなりスムーズになってて、

多分すごい警備の人がんばったんだろうなとか思って」

 

____そういう混乱てほんとになかったみたいでしょ?

 

「新聞によってもいろいろ書き方があったんですよ。

約800人が医務室でお世話になったって書き方と、

運ばれたっていう書き方があって、それって絶対全然違うよね。

俺の友達とかも、医務室涼しいらしいよ行ってみようって行ったりしたけど、

それもカウント1とかね、ちょっと頭痛がするから頭痛薬もらいに行こう、カウント1とかね、

それこそ女の子、厚底のサンダル履きました、靴擦れです、カウント1とか

そういうのがたくさん含まれている状況だったと思うし、

何でもかんでも事件にしてしまう新聞の書き方っていうのはちょっと信じちゃいけないよって

警告を出さないとまずいのかなとも思ってみたりした。

GLAYって今まで、

何かに対して声を大にして発言するようなことはあんまりしてこなかったし、

ところどころで微妙に発言してみたりとかってやり方してたと思うから、

新聞を信じるなっていうふうには言わないけども、まあそこは大人になればわかることだし」

 

____こんなに異常事態でしたっていう。

 

「でも、何でそういうふうにするんですかね」

 

____事件にしたがる新聞屋。

20万人というこの話が出たときにまず最初に思ったことって何でした?

 

「うーん、GLAYって今まですごい親切な活動してきたと思うんですよ。

テレビでも雑誌も一杯出て、キャンペーンもやって、ライブもやって、

レコーディングもやるって、ほんとに何でもかんでもやってきてた、

すごい親切なバンドだったと思うんだけど、

そこでひとつ自分たちのためにというのかな。

まあ全ての活動が自分たちのためではあるんだけど、

どこかマンネリ化してきたことだったりとか、

もっと単純に音楽やりたいっていう気持ちの衝動とか欲求とかがすごく大きくなってきて、

やっぱり誰もやったことがないことがやりたいとか出てきたんだと思う。

TAKUROくんが小さいとき夢見たっていうのも、俺も実際そうだし、

20万人相手っていうのは想像しなかったけど、

多くの人の前で演奏したいなっていうのはあったから

”やらしてくれるの?”っていう。

会場が大きすぎて見えないはもうしょうがないっていうか、

俺らはがむしゃらに、今までどおりやるだけだから、

そこで例えが顔が見えないって怒る人には、

残念でしたねっていうぐらいで考えてた。

だから逆に後ろの人がのってたことが、すごいショックだったし、

舐めてたなって思って。そこですごい感動しましたね。

だから次の日とかね、俺にはロックの刺というものはなかった(笑)。

次の日8月1日は、そのくらいダラーっとしてた」

 

____それは出し尽くした状態、燃え尽きた状態に近い?

 

「うーん、いやー、良かったねーっていう感じ。

お客さんたちも含めて。お客さんたちもほんとに主役だったから。

今までドームとかスタジアムでやってきてたときよりも、

さらに俺、お客さんたちが主役だと思ったから。

みんなが主役っていう。だからなんかね。

良かったーっていう、お客さんに問い掛ける気持ちでいっぱいだった」

 


_____MCで「お前ら」って言いかけて「あなたたち」って言い直したでしょ、

あれがすごく印象的だったんですよ。

 

「ああ、あれね。前にね、去年のスタジアムの1発目の真駒内の時に、

俺、楽屋でラジオのファックス読んでたんですよ、

そしたら、”TERUさんてなんでMCで私たちお客さんに対してお前らって言うんですか”

っていうファックスがあったんですよ。

TERUにこんなの来るよとか言って、でもしょうがないじゃんね、

俺ロックだもんねって、そこでバカ話して盛り上がったんだけど、

そこで何となく考えてて、俺は今でもどっちでもいいと思うんだけど、

でも何となく気にかけてたからそういうこと言ったんだと思う。

あれは全くごく自然のことだったんだ。

かねがね思ってたんだけど、ライブのMCとか聞いても、

何かかっこつけたMCっていうのは妙に恥ずかしくて、

TERUみたいに”今日はもうガンガン行くぜー”ていう感じっていうのが、

自分でテープとか聴いてるとなんかちょっと恥ずかしいな、

サマになってないなとか思ってたのがあるんで、

それでだと思う。お前らーはなんか違うなって」

 

____あの一言がすごく印象的な気がして。

 

「あと、前に詰め寄ってくる、ステージに詰め寄ってくるお客さんたちを

冷静にさせるっていうのもあったんだけど、実際。

お前らー、ガンガン行くぜーって言ったらもっとヒートアップしそうな気がしたんで、

一回一呼吸つけておかないとヤバイかなっていう気持ちもあった。

ガーっていってるときになんかフッと間を置くみたいな、ね」

 

____あの、大人の感じ、バントの持っている余裕とか、

客席との距離の取り方とか、自分たちの気持ちの持ち方っていうのが、

あの一言で、フッと見えたような気がしたの。

 

「例えば、オープニングも、どっから出てくるか分からなくて、

みんなびっくりしたわけじゃないですか、

Cステージの周りにはお客さんたちがまだ続々入ってきてる、

お客さんたちが自分たちのブロックに行くためにどんどんどんどん押し寄せてくるわけですよ、

TERUとかは全然気がついてなかったから。

それは性格の問題なのかもしれないけど、ライブハウスでもその会場でも一緒だなと。

お客さんの辛い顔してるのを見ながら気持ちよくライブはできないな、

ちょっと静めないと、と思って」

 

____やる前のいちばん不安だったことってなんだったんだろう?

 

「やっぱり後ろのお客さんのことかな。うん、そこだけだったと思う。

もう出音とか、楽器まわりとかに関しては、

もう任しててもいいくらい大丈夫だから。

あとはお客さんとの俺らのコミュニケーションっていうか、

だんだんだんだん大きくなるにつれて、やっぱり遠くなるからいやだって言う人も、

遠くなってもやっぱり私は好きだっていう人も出てくるし。

そこを解決するのってやっぱり楽曲のパワーとかバントのオーラって絶対あると思うから、

そこまで俺らがパワー持ってるのかなって不安もあったし」

 

____それは、スタジアムがあったり、ドームがあったり、

その前に感じてたものとは共通してるものなんですか?

 

「ドームのときにはそんなことはなかった。自信満々だったんだけど。

スタジアムのときは思ったかもしれない。

だからステージが見えない人たちのことがっかり気にしてた。

今やってみるとそれが生きてるし、つながってることなんだとは思うけど」

 

__EXPOの話が出たときには、俺は絶対これをやりたいみたいなものっていうのはあったんですか?

 

「俺はなかったかな。TAKUROくんはなんか学園祭ぽい、

井ノ口さんも言ったんじゃないかな、夏休みだしライブ以外に展示ブースみたいのがあって、

幕張一帯をお祭りスペースみたいな解釈でやればより楽しいんじゃないかって。

おもしろいねって言ったけど、俺は別に特に何やりたいってのはなかった」

 

_____それよりは、ステージで完結してっていう感じ。

 

「そうですね、それこそ後ろのお客さんたちにどうすれば届くだろうとか、そればっかりでしたね。

当初はいちばん後ろにステージ組んで、オープニングそこでやろうって話もあったんですよ」

 

______メインステージに移動するの大変だ。

 

「そうそれが大変で、センターのど真ん中になったんです。

それでも5分ぐらい移動にかかってたんですけどね」

 

____リハーサルのときにこれって滑稽かなって話も出てたでしょ。

 

「前々日のリハーサルの時に実際車に乗ってみて、やっぱり滑稽だよねとか言って、

じゃあ、水鉄砲だよ、水鉄砲、って。

くだらないんだけど、やっぱり楽器持ってないとボーカリスト以外はつらいっていうか、

何していいか分からなくて。それは何でもよかった、それが水鉄砲だったんですよ」

 

_____で、EXPOを写真にしようっていうのはそういう中で出てきたアイデア?

 

「そうですね、前からカメラマンの菅野さんとか、

JIROくんも写真撮ってんだったら一緒にやろうよとか、

飲み屋とかで話してたんですけど、何ていうのかな、

あんまりこの立場を利用したくないっていうか、これはすごい甘えだなと思うし、

プロのカメラマンに対してもなんか申し訳ないなっていうか。

別に第一線上で活躍してるわけじゃないから比較するもんでもないんだけど、

JIRO写真展とかいうと、もし俺が逆の立場だったら、

”へえ、そうか”っていう、売れてるもんねって思うかもしれない。

そういうのってやっぱり大嫌いだし。

だから、今回は自分のブースだしいい機会だ、

これは自分たちのためのものだから、やろうやろうって。

最初風景とかにしょうかなと思ったけど、風景見てもつまんないんじゃないかと。

そうだな、しかもモノクロだしなー、以前発売したモノクロ写真集も俺は大好きなんだけど、

評判良くなかったしやっぱり子供達ってモノクロ嫌いなんですよ」

 

____地味に見えちゃうのかな?

 

「そうかもしれない。モノクロページのモノクロだったらいいかもしれないけど、

カラーページのモノクロっていうのは嫌い派が多くて。

でもそこはあえて、やっぱり俺はモノクロ写真が好きだってことで

モノクロに統一したんですけどね。

 

____あれも結構時間かかってる?

 

「いやそんなことないですよ、過去から撮りためてるものをちょっとセレクトするだけだったんで」


____曲の話なんですが「RAIN」は最初リハーサルの初日のときは単体という扱い方だったでしょ。

 

「そうですね、アンコールの1発目にアコースティックでやろうって言ってたんですけども。

何でああいうふうにやったか聞きたいですか?つまんなかったから」

 

____いいなそれ(笑)。

 

「コードが全部循環コードで、ずーっと一緒なんですよ。

サビもいっしょだし、Aメロとかも一緒だし、

だから歌っている人以外はたぶん面白くない曲だったんです。

作品としてはいいんだろうけど、演奏するとなると、すごい退屈でしょうがない曲。

それはすごい感じてて、それにあれは6分半とかそのくらいあるんじゃないかな、たしか。

だからどうやって集中させて聞かせよう、ラジオでやるって公言しちゃったしね。

どうしようとか言って、でTAKUROくんが『パンクにしょうよ、パンクに』とか言って」

 

___「BURST」の中に入れてああいうふうにするっていうのもその時に?

 

「あの単体のパンクのまんまで、どこだっけな、アコースティックでやろうって言ってたんだけど、

エレキからアコースティックに持ち替えたときに何かしっくりこなかったんですよ。

さっきまでの勢いはどこ行っちゃったのって感じで。

じゃあどこにしようかって、で、じゃあ「BURST」の中入れちゃおうよって話になって」

 

__あの会場であの人数で「BURST」やったときにどうなるだろうっていうのは、なかったですか?

 

「いや、それは全然。思わなかった」

 

_____ドームでもやってるしみたいな?

 

「うーん、なんだろう、まあ、祭りだしっていうぐらいだったから。

それこそライブハウスで「BURST」やる方がもっと危険だなって思うくらいだから」

 

______ZEPP TOKYOの取材はオフリミットで行かなかったんですけど

やってみてどうでした?かなりいろんなことあったっていう。

 

「珍しく10分、15分ぐらいかな中断したのね。まあ、その件に関してはいろいろあるんだけど、

ファンの言い分とかもあるし、スタッフの言い分もあるし、俺らの言い分もあるし、

そこはバランスとっていかないとだめだなと。

ファンの子の中にはライブハウス慣れしてない子ばっかり来るんだから

やっぱりホールでやるべきだっていう意見もすごいあるし。

近くで見たいっていう人もいるし。

俺らは純粋にライブハウスでただやりたいだけだったし。

怪我人とか出したらスタッフもやっぱり大変だろうし」

 

____ファンの間でも評価というか意見が分かれた感じだったんですか。

 

「うん、まあでも言いたい人が言ってればいいんじゃないですか、

っていう感じかな。ライブハウスやりたいっていう衝動。

そこばっかりは譲れないし。例えば譲るとしたら、

次ライブハウスやるとしたらもっと小さいところでやるとか。

もう10人倒れてもすぐ戻せるくらいすごい狭いとこでやるとか。

そうやって解決していかないとライブハウスはできないかな。

で、見れない人がもっと多くて、さらに批判も出るだろうけど、

それはしょうがないでしょうっていう、

だって俺らライブハウスでやりたいんだもんっていう。

まあ、そこはお客さんの意見を聞きつつやるしかないから。

だからZEPPははいい勉強だったんじゃないかな、

お客さんにとっても俺らにとっても、スタッフにとっても」

 

____そういう、ファンとの関係で、変わってきたことってありそうですか?

 

「うーん、俺ら自身もGLAYがここまで大きくなると思ってなかったのも確かですから。

大きくなったことで若干のパニックもあるし、

だからそれを押さえるために自分たちの活動に関しては自分たちで責任持っていたいっていう。

人に任せるのこ半分、自分たちの責任も半分っていう、

ちゃんとバランスとってやってるとは思うんですけどね」

 

___EXPOなんかにしても”手作り感”ってしきりに口にしてたでしょ。

それも、20万人ていう巨大イベントの中で自分たちがどこまで

責任持てるかなっていうことなのかなって思って聞いていたんですけどね。

 

「20万人ライブっていうだけで、スタッフの数もすごいし、

責任者も一杯いるわけじゃないですか。

EXPO館もやるとなると責任者がだれか分からなくなるくらいで、

だから任してたらどうなるか分からない、自分で責任持つしかないっていう。

それがね、結構ギリギリになってから気がついて、だからライブの前ドタバタしてましたね。

自分たちでこれやりたい、だから素材揃えますって言わないと、何も始まんないんですよ。

スタッフも手一杯の状況だったから。でもそれも含めて良かったと思うんだけど」

 

____自分たちも参加して責任持ってやったんだっていう。

 

「これやってって人に頼んで、

出来上がってきたものにケチつけてっていう状況だったらここまで感動しなかったと思う」

 


____「クレアシオン」で去年の夏に言ってたテーマが『走る』っていうことでしたけど、

 その『走る』っていう言葉のイメージは一年経った今、どんなですか。

 

「そうですね、実際どういうことしゃべったか忘れちゃったんだけど」

 

____勢いとか、加速して行く、みたいな、そういう昇り調子のスピード感。

 

「外に向ってっていうのは、あんまり今はないのかもしれないな。

それよりもバンドで楽しくありたいっていうか、今レコーディングやってるけど、

ここのこのグルーブがいいよねっていうようなこととか、そういう感じかな。

酒飲んで、作品聴いて、いいよね、ここのギターいいじゃんみたいな、

まあそういうことで楽しみたいっていうのはあるけど。

何ていうんだろうな、JIRO像っていうのは今はちょっとゆっくり走ってるのかもしれない。

それよりも本来の俺っていうもののパワフルな感じがしてうような気がするんだけど。

まあ、ライブとか今はないし、あんまり外に出てないからかもしれないけど」

 

____去年の夏頃の自分のキーワードが『走る』だったとしたら、今は何なんだろう。

 

「今は何だろうな、うーん、去年は、休みになるとちょっと落ち着きたいなとか、

例えば、GLAYの活動が早すぎて戻るのがいやだなとかあったけど。

今回のクレアシオンの『走る』って言うのは自分にプレッシャーかけてたのかもね、

走んないとダメだっていう」

 

____なるほど、”GLAY”に追いつけなくなっちゃうっていう。

 

「スタジアム以降かな。何となく、GLAYのスピード速いなっていう、

ちょっとめんどくせーなっていう、腰が重い感じはあった。

撮影の朝なんかに昨日飲み過ぎたしめんどくせー、

いい顔できんのかよっていう、そういう感覚に近いのかも。

こんなにスピード速くていいもの出せるのかっていう、

でもやっぱり走らないとだめだっていうプレッシャーってすごいあったけど、

今は全然そういうのなくて。今を例えると”パワフル”かな」

 

_____『走る』っていうことが去年だとしたら、今年は『作る』っていうような感じ?

 

「うーん、何だろうな、同じ走るでも新幹線とSLのような」

 

____今がSL?

 

「のような感じ。走りは遅いけどパワーはあるぜっていう。

いまのGLAYの活動自体がそうかもしれないし」

 

____先を急ぐだけじゃなくなってるっていう。

 

「なんか、結果がどうあれ、そこに行くまで自信を持ってパワフルでいることが

やっぱり重要だなということに、今になってこれだねって思ってるのかもしれない」

 

____シングルの『ここではない、どこかへ』っていう、”ここ”っていうのは

JIRO君にとってはどういうところなんだろう?

 

「いや、わかんない。それはでも、ずっとテーマとしてあるんじゃないですか。

とはいえ、今のGLAYの活動の大きさっていうものも、

自分にとってはいい刺激になっていると思うんですよ。

俺の人生においては。絶対。

俺がGLAYにいなくって、いまだにアマチュアバンドとか続けてたら、

もっとダラダラしてたような気もするし。

極端な話で、例えば、GLAYがなかったとしたら、まあベースがあるけども、

世間で言う手に職を持ってないっていうか、

建築現場で働けって言われてもなんの免許も持ってないわけだし。

GLAYとしてここまでの人生はいいことをしたから、じゃあもっとやろうとか、

ハードルがどんどん高くなっていってる気はしますよね。

明日、解散してもこれから先もいい人生送れるんじゃないかっていう気もしてるから」

 

____ここまでできたんだから、こっから先もできないわけがない、みたいな。

 

「そう。だからこそ楽しんでやりたいかもしれない。

ここまで日常生活では不自由なものになったし、そういういろいろな面はあるけれども、

だからこそ楽しいんだと思う」

 

____話は変わりますけど、FUJIロックのことっていうのは

どういうふうに気にしてました?時期が重なっちゃってたでしょ。

 

「気になってましたよ。見たかったし」

 

____新聞なんかでもGLAYの影に隠れて報道されなかったでしょ。

 

「そうですね、でもFUJIロックにとっても良かったんじゃないですか。

何人運ばれたとか。やっぱりFUJIロック的な、

ああいう火っていうのは消えないんじゃないですかね。

宣伝があってもなくても、新聞に載ろうが載るまいが、

ああいうポジションていうのは絶対あるんじゃないですか」

 

_____それはGLAYとは違うものだと。

 

「いや、どうなんだろうな。

でも、GLAYのファンがFUJIロックのお客さんの中に入ると危険だなという気はするけど。

俺は、ああいうの大好きだけど。そういうのに憧れてたし。

同じロックだけど、GLAYは違うというのも知ってるから」

 

_____役割の違い?

 

「たとえばこの人たちはホールでやったら絶対失敗するだろうなっていう

バンドもあるわけじゃないですか。ライブハウスがかっこいいみたいな。

そういうのもあるのかなあと思って。でも、どちらにしろ、

自分で好きなものを信じてればいいのにって感じかな」

 

____もちろんGLAYの人気で20万人集まったわけだけども、

ロックコンサートとかロックの受け入れられ方とか、

そういうこともやっぱり背景にあるんだろうなと思うんですよ。

それがやっぱり世の中が変わってるなっていうひとつの答えだろうと。

 

「1個腹立ったのがあって、ある新聞が、今の若者のわかりやすい現象だ、

みたいなことを書いていたの。

人が観に行けば観に行くみたいな、それでできた、だからこそできたイベントだという、

かなり後ろ向きな発言をしてて、そこに2人ぐらいの評論家の人の意見が載ってたんだけど、

どっちもそういう感じで、なんで素直に見れないのかなあと思って。

それは、800人運ばれたっていう書き方よりもっとあきれたっていうか、

若者にそういう傾向があったとしても、そうしたのは大人のせいもあるわけじゃん、

子供ばっかりを責めるのって、何言ってんのって感じがして。

あのイベントが、そんな風に見られたのが悔しかったですよね」

 

____なんかやろうとしたときに必ずあげ足とって、冷ややかに水さすっていう

 

「そう、あげ足取る人がいっぱいいるから、つまんない人たちなんだなあと思って。

でも、そういう議論では、俺は多分、論破されるだろうな。

TAKURO君は勝てるかもしれないけど、俺はしゃべるのが下手だし。

でもロックに対する初期衝動みたいなのは負けませんよ、っていう」

 

____口だと負けちゃう?

 

「論破されるな、口弱いから(笑)」

 

_____JIROくんとしてはあの日がどういうふうに残っていけばっていう感じですか。

 

「どうだろうなー。伝説に残るライブやりたいなあってずっと言ってきたんだけど、

何年が経ってみないとわかんないですからね。

俺らが解散して、俺が子持ちパパになった時なのかもしれないし。

あれだけ広くて、最悪とまではいかないけど、

結構大変な状況だったわけじゃないですか、

でも、観た人から批判的な言葉は来なかったのが、意味がある気がする。

伝説っていうわけじゃないけど、ファンの人たちと一緒に

一つのものを作ったっていう実感はかなりあったですね。

今までもいいライブって一杯あったけど、これほど実感ていうか、

観に来てます、やってます、作ってます、っていう感じはなかったんで、

その気持ちもなんか忘れないでいたいなあと思ってます」

 

____来てくれた人、それからファンの子たちの中には、

どういうふうに残ってくれるといいなと思ってますか?

 

「まあ、あんなライブもう行かねえっていう人が仮にいたとしたら、

それでも残ってくれればいいなと思うけど。

最悪だってよ、もうあんなライブもう絶対行かないって言っても、

でも、その状況は覚えてるわけじゃないすか、

GLAYといっしょに時を刻んでる1日があっただけでも何かを共有したわけだと思うしね。

ステージから見ると、みんなもう何時間も待ってるわけじゃないですか、

真っ赤っかの顔の、酔っ払って真っ赤っかみたいな女の子とかが手振ってるの見て、

もうすっげー感動して、俺は絶対あの子の顔は忘れないもんな。

そういう人たちも、炎天下の中でずっとラジオを聞いて待ってた

開始までのあの時間も覚えててほしいな」

 

ROCK GRAPHIC MAGAZINE Creation Vol.5 Autum 1999

 

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