|
ACT:4
|
|
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
GLAY TERU LONG INTERVIEW
EVER CHANGING MODS インタビュー:元生真由
愛を歌うよりも
自分達という生身の姿を歌う
● 「HEAVY
GAUGE」というアルバムが出来あがって少し時間も経ち、
もしかして今は、客観的になれている時期なのではと思うのですが。
今回のアルバムは、GLAYの大きな流れの中で、一体どういう位置・…
存在だと、TERUくんは思いますか?
「pure soul」までの一連の流れの中でのGLAYという物体に
対しては、世間の人は『愛は大切なんだ』とか『ぬくもり』とかね、
そういうものを届けてくれる存在としてみてたと思う。
すがれる存在というか、癒してくれる、楽しませてくれる―そんなイメージを持ってたんじゃないのかな?
俺達もそう思われてることは判ってたし、そういう部分は確かにあったと思う。
けど、この「HEAVY
GAUGE」では、どの言葉も癒してはくれない。
ハードなサウンドで楽しませる事はできても、言葉で『愛は大切だよ』なんて全然伝えようとはしてないんだよ。
『愛を持って行動すれば世界は変わって行く』とか、『優しさを歌として届ける』とか、
そんなこと言うGLAYは、「I’m in Love」でひとつの区切りを迎えたのかもしれない。
あの歌の持つ世界観とか、友達を集めてレコーディングしたあの手法とか、
それに、EXPOで20万人の人と「I’m in Love」を共有できた
こととかね、そういう全てを通して、自分達も何かを感じたと思うんですよね。ほんとに」
●
「何か」というのは?
「もう、これ以上の「I’m in Love」は無いだろう。
これ以上、言葉で愛情を伝えようとし続ける意味があるのか!?
……多分ね、そんな気持ちだったと思う。
すごく漠然としてるんだけど、20万人の人と一緒に愛にあふれた歌を歌えてさ、
ほんといろんなものを貰ったんだよ。
だって、そんなこと、もう一生無いかもしれない大きなことでしょ?
だから、すごく受け止める気持ちは大きかった。
でさ、これからは、愛情の歌はそこに残して……みんなと共有した時間の中に
残して、次に歩き出さなきゃいけないなって思ったんだよ」
●
最高の愛情の歌を20万人で共有して、一つの区切りにして。
では、それを後にして歩き出す先というのは、どこなのでしょうね。
「自分達そのものを歌う、そういうことだと思う。
愛を歌うよりも、自分達という生身の姿を歌う。
それが、今、すごくGLAYらしい気がしてるから」
●
もしかして今のGLAYは、共に歩むというよりは、先頭に立って歩いて
行くような感じなのでしょうか?
今作は、歌に込められているものが、リスナーに対して伝えるメッセージと
いうより、もっと意思の強い『宣言』のように聴こえたりもして。
「うん、そういう感じかもね。TAKUROが言ってたんだけど、『共有される
ことに、だんだん違和感を覚えてきた』って。
俺らの歌を聴いて『その気持ち私も判ります!』って言われることとか、『愛っ
てそうですよね』って共感されることに、だんだん、違うんじゃないのか……
って気持ちが湧いてくるようになって」
●
『俺らの本心が、判ってたまるか!?』みたいな?
「あははは。そこまで傲慢に思ってるわけじゃないよ」
●
それって、数のマジックなのかな?例えば私が普通に生活している中では、
自分の意見に共感してくれる人に出会えると凄く嬉しくなったりするんですよ。
でも、もしかして、20万とか400万とかっていう顔も見えないような数の人
に共感されても、気持ちを共有できるとは思えないというか……?
「どうなんだろうね、そういうのは確かにあるかもしれない。
でも、俺がもっと思うのは、単純に、今の状況が不自由な感じがして、
ちょっといろんな人から離れた方がいいんじゃないかってことで。
GLAYが大きくなりすぎたことで、自分達が願ってないこととか思っても
みなかったことことが発生してきて、単純に、その状況が辛いというか居心地悪いというか。
あと確かに、気持ちが伝わりにくいっていうのも、ある。
たとえば幕張で20万人ライブをやったらさ、その人数を拾われて、
そのことだけが世間の話題になったり。
俺達はそんな気持ちでやってたわけじゃなくて、ウッドストックみたいに
多くの人の前でライブをすることが夢だっただけなのに。うん。
その夢に対してみんなが応えてくれるんだったら、まだ救いはあったと思うのね。
けど、その話題性だけが先走りしてたじゃない?次の日のテレビとか新聞とか
すごかったでしょ?イベントの裏では……みたいな感じで、お客さんが捨てた
ゴミの山の写真とか、日射病になった人のこととか、ほんとアラ探しみたいな
ことばっかりしてるのもあったり『次は40万人か!?』みたいに書いてあるのもあったり」
●
たしかに、GLAYの事を本当に好きなファン以外……たとえばマスコミ
なんかにしたら、話題という捉え方が大きかったかも。
「うん。マスコミがそう捉えたら、それを信じるファンも出てくる。
GLAYの動員を利用しようとする人も出てくる。
どんどん、自分達の意思がストレートに伝わらなくなっちゃってるんだよね。
俺達はあの日、長いあいだ夢見てたことを実現した。
そのために、スタッフも死にもの狂いで働いてくれたし、ほんとに多くの人が協力してくれて成り立った。
……俺たちはね、ただ、それが嬉しかったんだよ。
だけど今、喜んでもいられなくなっってるのは、GLAYが大きくなってしまったからでさ、
GLAYの音楽を好きじゃない人の興味まで引いてしまってるからなんだよ。
「FATSOUNDS」は、太りすぎてしまったGLAYに対しての警告が歌われてる。
もう今になって、GLAYに対して、自分たちで警告しなきゃ行けない所まで来てると思う」
●
バンドが大きくなるにつれ、バンドとリスナーというストレートな関係に
プラスして、ただ興味を持つ人や利用しようとする人などと、自分たちの
意思に反してイビツな関係を結ばなければならなくなってきている。
そんな状況に対するTERUとしての動きが、ひたすら自分たちのことを
歌うという、とても正直な方法であった、と。
「ほんと、そう。まあね、誰かに対して頭に来てるわけでもないんだよ。
今の日本では、そういう状況になるのは目に見えてることだし、俺らも、
より多くの人に受け止めてもらいたいと思って活動してきたわけだし。
ただ、それにしても今の状況はキツいから。
だから、GLAYってバンドを一度見直してみるのもいいんじゃないか…と。
幕張で一つの区切りをつけたから。
今までのGLAYを棄てるわけじゃないけど、ちょっと離れてみようかと思ったんだよね」
第三者にオブラートを破られるくらいならGLAY自らが破ってやる
●
例えば画家に例えると、今までのアルバムは、
それぞれの時期の自らの芸術性や画力やメッセージ性を伝える絵だったのが、
今作は、鋭いタッチでリアルに描かれた自画像なのではないか?―そんな事を、感じました。
『ここまでリアルに見せつけられてどうしよう』と、一瞬こちらが怯んでしまうような生々しい絵なのでは、と。
「ああ、そう感じたのは判る。「生きがい」とか「Will Be King」
とかを聴いて、また『癒されました』みたいなトンチンカンなことを言う人も
いるかもしれないけど、でもね、俺たちはほんとに身を削って作ったから。
生々しいと感じたっていうのは、そうかも。
ほんと、すごいストレートなGLAYなんだよ。
『君らはこの正直な姿を見てどう思うんだよ!?』そういう提示を、全編でしてる」
●
にしても、なぜそこまで生々しい我が身を見せなければいけなかったんで
しょう。生身を提示するほどに、受ける傷も大きくなる気がしますが……?
「確かにそうかもしれない。けどね、愛にあふれた優しいものの裏をさぐろう
とする人、どんなにオブラートで包んでもそれを破ろうとする人っていうのは、絶対いるんだよ。
第三者にオブラートを破られるぐらいなら、GLAY自らが破ってやる――
そういう、アルバムなんじゃないかと思う」
●
服を脱がされるぐらいなら、裸で出てやる―そんな、自虐的とも言えるよう
な強い思いが、アルバムに驚くほどのリアリティを与えているのかな。
「リアリティ……そうだね、正直っていうのを通りこして、
攻撃的とも言えるような曲もあるかも」
●
攻撃の対象って誰なんでしょうね。第三者っていうのは簡単だけど、そんな
人達もGLAYが大好きな人達もみんな、当然の事ながら、全く同じ音を聴く
わけないでしょう?好意を持って伝えたい人に誤解される事もあるのでは…?
「そんな事を恐れてたら、正直になんてなれないよ。伝わる人には伝わると
信じてるし、逆にいうと、ダメだったら聴かないでくれてもOKという。
俺は今回、何百万人に『いい!』と言ってもらえる作品を作ろうなんて、考えなかったもん。
…あのさ、GLAYはね、すごく気を使って進んできたバンドだと思うんだよ。
いつも足元を見て一歩一歩進んできたし、
その中で、スタッフとの関係だったり色んな人との関係を築いてきた。
その関係を壊そうと思ってるんじゃないけど……でも実際は、壊そうとしてる
のかもしれない。いや。というか、元に戻そうとしてるんだよ」
●
GLAYが始まった頃のような関係に戻そうとしてる。
「そうそう。まあ、どの時期が元かは判んないけど、要は、一番最初のような
関係というか、これからまた築いて行くような関係というか。
これまでの関係を無かったものにしようとしてるんじゃないんだけど、
こんなにストレートなGLAYを見て、そのGLAYって物体を愛しく思える人だけが、
もう一度集まってくれたらいいだろうなって思う」
『みんなのために』って自分を追い込んでたと思う
●
もしかして、本気でこのアルバムが売れなくてもいいと思ってる……?
「正直言ってそうなんだよ。TAKUROやHISASHIやJIROが本当
にどう思ってるかは判らないけど、俺個人としてはそう。壊したいんだよ。
きっとね、聴いてくれてるみんなが欲してる『GLAYのTERU』ってイメ―ジ、
あると思うんだよ。確固たるものが。
優しい歌を歌ってくれて、激しくて熱いものがあって、
前向きな人間―そんなTERU像を、持ってるんじゃないかな?
それを裏切るって言うんじゃないんだけど、『本当は俺だってこうなんだ』ってのを、今は言いたい。
本心じゃないんだけど、敢えて今は『騙されてたでしょ?』とすら言いたいと
いうか。そんぐらいの気持ちでありたいんだよね」
●
……なぜ、それ程までに?
「繰り返しになっちゃうけど、もうそれはGLAYが大きくなりすぎたから。
だからね、側にいる人が俺のことを優しくて前向きって思ってくれても全然いいんだよ。
ただそれをGLAYのTERUのイメージしたくないというか、
状況にあわせるために無理をしたくないというか」
●
かなりの無理をしてきた?
「……かもしれない。たとえば、身の周りの人に優しくするのって、ある意味
簡単じゃない?気持ちのやりとりをできる近さの人には、誰だって素直にそんな気持ちがわくでしょ?
けど、たとえばライブ会場でさ、豆粒くらいにしか見えない一番後ろの人に、
『気持ちを届けたい』と思えば、そこには……無理が出てくる事も多いよ。正直なところ。
いや、全てを否定するわけじゃないんだよ。
ほんとに、見えないお客さんとも一体になれたって感じたことは何度もあるし。
でも、やっぱり自分を追い込んでたと思う。
『みんなのために』って。
テレビ番組にしても、地方に行く機会がないけど俺らの姿をみせてあげたいと
思ってるから出てるわけだけど、でもその裏では、CDを売るために会社の思いなんかもあるわけでしょ?
しかも、曲を完全な長さで歌えるわけじゃなくて、短くエディットしたヴァージョンを歌うしかなくて。
そしたらさ、真意はどこにあるかは見えにくくなっちゃうんだよ。
今の俺はね、そんな事をするぐらいなら、なかなか行けない地方にも、
ライブに行ったりした方がいいんじゃないかって思うんだよ。
『だったら地方に直接行こうよ』っていうのは、今、ほんとGLAYで言って
ることだし、中途半端な優しさだったらいらないんじゃないかって思うんだよね」
●
何かを切り捨てているんじゃなく、
『生身の自分達を見て、それでも好きと言ってくれるか?』と、ひたすら問いかけてる。
「そうそう。虚像を見て好きになられたり、真の姿を歪めてとられるのはゴメ
ンだけど、正直な俺を見て好きと言ってくれるなら、それはやっぱり嬉しいことだし。
だからね、今もこうやってものすごい本音で話してるんだよ。
カッコつけたことだって言えるし、GLAYとして夢を与えてあげたいとは思う。
けど、嘘をつくのは嫌だし、どれだけ大きくなっても活動の隅々まで納得してやりたいし。
ただ、それだけのこと」
願っても仕方ないから信じて進むしかないってこと
●
隅々まで納得した活動というのは?
「例えば今年、俺らのビデオって3本も出たじゃない?そんなにさ、
ファンの子に無駄遣いさせる必要ってなかったと思う。
でも、どんどん組織が大きくなっていったら、
俺らの知らないところで話が進んだりもするわけじゃない?ビジネスとして。
俺達はさ、売れなくても好きなことだけやればいいってバンドじゃないのよ。
『売れたかったんでしょ?』って言われても否定も何もしないし、
売れたいと思って頑張ってきた。
でもそれは、売るだけが目的っていうのとは全然違う。
GLAYは……今は、ある一線を越えてしまってる気がするんだよね。
何をやっても話題になってしまうのに、俺達の真意なんって伝わんなくなって。
GLAYジャンボとか、ほんとそう思った。
俺らだってさ、あんなの恥ずかしかったよ。
ピカチュウと一緒じゃねえよ……ってそりゃ思ったよ」
●
キャラクターなんかじゃない、って?
「うん。それにさ、俺らが記者会見なんて大嫌いなの知ってるでしょ?
けどさ、20万人ライブやるってなったら、全国からファンのこが来てくれるわけじゃない?
その子達に負担をかけないためには……飛行機代を安くするためには、
どうすればいいんだろうって考えてさ、そしたら『航空会社と手を組めばいいんだ』って。
俺らがちょっとした我慢をすれば、協力が得られるわけで、
そうしたらファンの子の負担も減るから」
●
本当のGLAYを知ってる人には伝わる気持ちも、
いわゆる世間に対してはダイレクトに伝わらなかった。
「まあ俺らも、そんな気持ちをことさら話そうとはしなかったんだけどね。
みんなには苦労話なんて聞かせたくはなかったし、華々しいところを見て
夢を持って欲しかったからなんだけど、まあ、28歳の男なんて、まだまだ
人間できてないからねえ(笑)。
諦めて流れに乗るなんてできないんだよ。
メンバーとそんな話をしたわけじゃないけど、きっとみんな、そう思ってる
筈だよ。特にTAKUROは。
だから、こんなアルバムができた。
正直な気持ちだけが詰まってるアルバムが」
●
TERUくんの歌は、今後、どうなっていくのでしょう?
「メッセージはなくなると思う。ずっとというわけじゃあ、ないだろうけど。
でも今は、誰のためにも歌ってなくて、ただ自分のためだけに歌ってる」
●
以前……確かアルバム「BELOVED」のとき、TERUくん一人、
ツアーを終えてから、歌入れをしてたじゃないですか?
『アルバムを聴いてくれる人達の顔をライブで観てから歌いたいと思って』って。
「うん。それとはもう、まったく違うアプローチ。
だから今回のレコーディングでは、何の情景も浮かばなかった。
前だったら、好きな人達とか、今の話みたいに聞いてくれる子とかを思い浮か
べたりしてたんだけど、でも今回は、歌う対象は自分だった。
何も考えずに、すごくストレートに歌った」
●
また以前は、TAKUROくんの詞を媒介するという役割についても意識して
いたけど……では、そういう側面についてはどうなってるの?
「TAKUROともね、詞の事はほとんど話をしなかったんだよ。
でも、TAKUROもきっと俺と同じような不満を抱えてると思うし、
だからアイツの書く詞には、今の感情ですごく判る部分が多くて。
だから相変わらず、自分の口を通してTAKUROの言葉を伝える役割は果たせてる。
ただ、俺の声を通すことによって言葉が柔らかくなることは無くなったかも」
●
TERUくん自身が同じような不満を抱えていたわけだから?
「そうだね、すごく攻撃的な気持ちになってたかもしれないから、俺」
● 攻撃的……?
「ぬるま湯につかって、ズブズブ埋もれてく生き方もありだろうけど、
俺はそういうことはしたくないし、だったら、寒くても湯の中から這い上がって
やる……みたいな。今回はそんな気持ちで歌ってた」
●
では、今のTERUくんにとって、
ファンっていうのはどういう存在なのでしょうか?
「……うーん……うーん……?」
●
何百万人に膨らむことで、どんどん実態が見えなくなってきてる?
「確かに正直なところ、それはあるよね。ライブハウスとかの頃に比べたら。
それでもずっと、見ようとしてた。ちゃんと。
でも今は、みんなが俺に何を求めてるのかが、考えてみても判らなかったりして。
だから結局は、自分が納得できる歌を聴いてもらえばいい、俺の生き方
とかを見て、『こんな風に頑張りたい』って思ってもらえれば嬉しい、そう思うだけ。
でも、ファンの子の中には、それでは満足できない人もいるわけでしょ?」
●
満足できない人が、追いかけて写真を撮って来たり……とか?
「……ねえ。音楽あっての関係でいたいんだけど、そういうことがあると、
どんどん見えにくくなるよね。それは、人数が多くて意見を聞けないからじゃなくって、
単純に理解できないことがある……という。
それは写真を撮ることもそうだし、本当の俺を知らないのに恋愛の対象として
見たりとかもそうだし。『それは違うだろ!?』と。
俺が俺の人生を生きてるように、みんなにはみんなの人生を生きて欲しいし、
そこで、恋愛の幸せとかも知って欲しい。判るでしょ?
そう、俺ね、サザンのスタンスに憧れてるんだよ。
みんなが純粋にサザンの音楽が好きで、桑田さんに対する恋愛感情で売れてる
訳じゃないでしょ。
下らない話題が先行するわけでもなく……。
あのスタイルって理想だよね。つまり……そう、俺にもそんな希望があるわけ
だから、今は、リスナーのために歌うんじゃなく、また一つの夢をかなえよう
としている自分のためだけに歌いたいと思うわけで」
● ……言い切るね。
「それは淋しいことじゃないんだよ。みんなだって、
俺が自分のために歌えば納得してくれると思うもん。
より正直な俺を見せてるわけだから。
俺が俺のために歌えたら、それはお客さんにも返っていくし。
俺が自分に自信を持てたら、その声はドームの最後列にも響くものになってるはずだから。
……言葉が足りなくて伝わりにくいかもしれないけど、要は願っても仕方ない
から信じて進むしかないってこと。すべては、自分の気持ち一つなんだよ」
●
そういえば、メンバーとは今も、アルバムの話はほとんどしていないという。
ただ、ロンドンを去る最後の夜に、完成したテープを流しながら食事しただけだと。
「『できたね』って笑って、メシ食ったんだよね。それだけのことなんだけど、
最高に幸せで楽しかった。もう、汚れたものはまったく入りこめない、
純粋な幸せがそこにあった」
……そう言って優しく笑うTERUの横顔は、しかし、20代後半の青年の持つ
意思の強い厳しさも湛えていた。
B-PASS 1999・12月号より
by MIKO
TOP
|