絶対トロットサンダーに会ってやる!
これは会社の慰安旅行で北海道(札幌)に行った時のお話です。

会社の慰安旅行で札幌に行くことが決まった。自由行動時間があるらしい。
となれば私の行動は決まったようなもの。馬行くぞ、馬!やっぱあの馬が見たい!

 2001年10月1日〜3日に会社の慰安旅行で北海道の札幌に行くことが決定した。初日と最終日は行動パターンも決まっていて大したこともできないが、2日目は自由行動。これはうまく使わないと勿体ない。札幌郊外で行きたい所なんてないし、馬に会える近場のノーザンホースパークは去年の慰安旅行(去年もかい!)で行って初めての乗馬を体験した。1日中居たようなものだし、今年も行くことないだろう。ということで、札幌から電車などで行ける距離で好きな馬がいる場所。北海道で会えそうな好きな馬と言ったら、え〜っと、トロットサンダーでしょ、トウカイテイオーでしょ、ナリタブライアンでしょ、ローゼンカバリーでしょ、あと自分の持ち馬を見に行くのも良いな。北海道にいる自分の持ち馬で見れそうな馬と言ったら・・・ノーブルアクション99がファンタストクラブに居るか居ないかというところか。

 そんな感じで慰安旅行までの数日間、インターネットで調べた調べた。(笑)まず、ローゼンカバリーの居るレックススタリオンは静内で駅から離れすぎており、見学時間も9時〜10時までと、とうてい間に合わないので駄目。トウカイテイオーのいる社台スタリオンは一応去年の北海道旅行で見てるし、札幌から近い割には、思った以上に交通の便が悪い。あとナリタブライアンは既に亡くなってる・・・ってそんな事は知ってるけど、自分の世代の3冠馬。自分の中の最強馬。競馬場に見に行った阪神大賞典での忘れられない鳥肌の感触・感動。いつかはお墓参りをしておきたかった。でも何だか知らんけど火曜日が休みだって。丁度その日は火曜日・・・休むなよなぁ・・・お墓くらいはいつでも墓参りさせてくれるようにして欲しかった。この対応は寂しいなぁ。(後のブリーダーズスタリオンステーションの所でも書きますが、この旅行では、改めて一部の見学者のマナー欠如によって、見学者すべてが生産者側・牧場側に信頼されていないことを実感しました。)そういうことでボツ。ノーブルアクション99はその数日前まではファンタストクラブにいたのだが、トレセンに入厩したという事でこれも駄目。ということで残るはトロットサンダー。この中でも一番会いたかった馬でもある。去年の5月の北海道旅行では近くまで行ったのだが、見学時期が8月〜12月の間ということで無理だった。でも今回は10月だ。これは行かないとあかんでしょう!で、調べたら去年までいたブリーダーズスタリオンステーションにおらんやん!何処行ったん?また調べたらいました!日高スタリオンステーションに。この種馬場何処にあるんやろう・・・と調べてみると、げげっ・・・荻伏?札幌からめっちゃ離れてるやん。行けるんかぁ?一応調べてみると、札幌からどんなに急いでも4時間はかかる。見学時間は9時30分〜11時と14時〜16時の間。札幌の始発は7時しかないから午前中はどう考えても無理。となると午後しかないが、その時間に合わせてしまうと夜までに札幌に帰れない。この日は19時から宴会があるのでその時間までには帰らないと駄目だった・・・万事休す・・・。でも諦められない。駄目元で幹事さんに言ってみた。「宴会遅れちゃまずいっすか?」「いや、良いよ。」・・・へ?ラッキー!そっからは予定立てましたわ。午後に日高スタリオンステーションに行くとしても、どうしても午前中時間が少し余ってしまう。これは勿体ない。何かに使わんと。その道筋で他に見たい種牡馬はいないか・・・?う〜ん、出来ればサッカーボーイが見たいなぁ。ということでブリーダーズスタリオンステーションも行くことに決定!予定はギッチリ。しかも電車の後は徒歩なので大変。後々振り返ると、結局どうやろぉ・・・10キロ以上は歩いたな。その内2〜3キロは電車に乗り遅れそうで走ってるし・・・かなりきつかったな。この計画はかなり無謀な計画だったな、うん。

10月2日
 朝5時30分、先輩に起こされる。外は暗く今にも雨が降りそうな天気。いくみんを置いてきた罰なのか祟りなのか・・・(苦笑)ホテルを6時過ぎに出発して7時前に札幌駅に着く。札幌駅は朝早いにも関わらずかなりの人。お仕事お疲れさんです。その日の切符をまとめて買い、7時丁度の電車に乗る。(計算では往復1万1千円位の筈だったんだけど、駅員さんの言うことに訳も分からず、うんうんと頷いていたら8千円くらいになった。間違いじゃないかと思ったけど、どうも割引でそこまで安くなるらしい。嬉しい誤算。今度から全部その手で行こう。(笑))まずは苫小牧までスーパー北斗2号で。指定席でらくちん。苫小牧からは鈍行(日高本線)に乗り換えて富川駅を目指す。電車は高校生の通学に使われるらしく学生服を着た若者が一杯。電車の窓からは太平洋がすぐそこに見える。2〜3メートルの荒波・・・かなり荒れてます・・・私帰れる?

 9時前には富川駅に着いた。う〜ん、雨だぁ・・・。ここからブリーダーズスタリオンステーションまでは、かなりの距離の歩きになるので、歩きながら傘を差しながらいくみんに携帯から電話をかけた。「それは私達を置いていった罰。いくみんといぶきの呪い♪」だって。やっぱりね。恐るべし・・・(笑)富川駅から遠いのは分かっていたけど、遠すぎ!どんだけ歩いても着かへん。でもそこら辺の牧場の1歳馬達が、こんな所を歩く私が珍しいのか、興味津々ここっちを観察。歩きながら口笛を吹いたら走ってこっちに寄ってきた。なんて可愛らしいんだろぉ〜。やっぱり良いわ北海道!結局歩きに歩いて予定していた時間をとっくに過ぎた10時半頃にブリーダーズスタリオンステーションに到着。だから1時間半以上歩いた事になる。ブリーダーズスタリオンステーションの門は開かれており、ボードには見学時間などと一緒に雨の日は見学を中止にさせてもらう事があると書かれていた。現時点では中止になっていないらしく、大丈夫?と思いつつ門をくぐって事務所らしきところに向かう。すると、どうも事務所の中から従業員らしき人がこっちを見てる。しかもかなり不審者を見る様な感じ。嫌〜な気がしながらも事務所に近づく。するとその人が出てきて強い口調で言った。30代位のの男性。「今日は中止ね!」その乱暴な言い方、そしてさっきの不審者を見るような目つきにちょっと機嫌を損ねた私。でも、もともと見せて頂く方だから、都合で中止は仕方ない。「そうですか、分かりました。」と残念そうに言うと、「雨が降ったり止んだりで迷ったんだけど、もう止みそうにないから。」と言われた。その後その人は車に乗り込んで、今自分が入ってきた門を閉め始め、「今日の見学は中止です」のボードを掲げた。閉め出されるように私も門をくぐり、雨がしとしと降る中を傘を差しながら、また駅までの長い道のり。しかも寒いし・・・はぁ。その人が車で去り際に聞いてみた。「すいません。ここからだと駅って、富川駅と日高門別駅までどっちが近いですかね?」「富川駅。かなり(距離)あるから。」そして車でブーンと去って行きました。なんだか感じ悪いなぁ・・・と思いつつ、私はブリーダーズスタリオンステーションを後にしたのでした。これその時に感じたんだけど、その人が見学者をあまりよく思っていないんでしょうね。別にその人が悪いんじゃなくて、その人の信頼を無くすような行為が行われる事があるんでしょうね。馬を見学に行く人、マナーを守るのは当然です。知らなかったじゃすみません。知らない人は調べてから見学しましょう。それも含めてマナーです。私も含めてお互いに気を付けましょうね。

 また徒歩での移動だが、富川駅と言われつつも見学もなくなったことだし時間が余ってる。富川駅の次の駅、日高門別駅に向かう事にした。そしたらこれが大変。道が全然分からん。目印になるような物が全くなく、30分くらい歩いてから富川駅に向かえば良かったと後悔。自分の歩いてる道が日高門別駅に向かってますように!と祈りながら歩くこと約1時間。何とか日高門別駅に着き、ホッと一安心。しばらく駅で過ごし、11時半過ぎの電車で最終目的地、荻伏駅を目指す。この辺になってくると周りの景色が本当に田舎になって来て、馬が走ってる光景など見ることが出来る。でもさすがに早起き&徒歩が応えたのか約1時間半の電車の中、ほとんど寝ていたなぁ・・・ちょっと勿体なかったかな?

 荻伏駅には13時過ぎに到着。さて、また歩きです。ここから日高スタリオンステーションまでは、さっきの富川駅からブリーダーズスタリオンステーションよりは近いはずなので楽勝!と考えていたけど、甘かった。ここでも約1時間かけてようやく到着。やっと、やっと着きました!ここがトロットサンダーがいる所かぁ!着いただけでも感動もの。このトロットサンダー、私この目で見たことがないんです。実物に合うのはこれが初めて。この馬が出てるレースの馬券も買ったことがない程です。自分でもなんで見たこともないこの馬がこんなに好きなんだろう・・・と疑問に思うほどです。事務所で記帳して見学させて頂きました。この日高スタリオンステーションでは午前中は放牧地での見学。午後からは馬房での見学となります。と言うことで真っ先にトロットサンダーの馬房へ。初めて目にするトロットサンダーは、私が目の前に来ても、ちらっと一度見ただけで「誰?」って感じで、その後はマイペース。どうもこの馬、頭を振り振りするのが癖らしく、結局、ご飯が来るまでの間中、この動作を繰り返してました。頭痛い奴やなぁ、って内心笑ってました。そのおかげで写真は全くまともな物が撮れず残念でした。(これ、その時の写真)この種馬場にはトロットサンダーの他にもスーパークリーク・タイキシャーロック・ダミスター・デュラブ・ビッグサンデー・ネーハイシーザー・リンドシェーバー・ヤエノムテキと他にも数多くの種牡馬がいます。中でも印象に残ってるのが天皇賞馬ネーハイシーザーです。トロットサンダーが余りにもずっと同じ動きなので、せっかくだし少し他の種牡馬も見ようと思い、ぐるっと見て回ったところ、この馬だけは「良く来たねぇ〜」って感じで顔を出してくれるんです。凄く人慣つっこく、嬉しくなりました。で、トロットサンダーと言えば、まだ頭をぐ〜るぐ〜るぐ〜るぐ〜る・・・(苦笑)そこにご飯が運ばれてきて、ようやく動きが止まったトロットサンダーを見ることが出来たのです。写真で見ても分かると思いますが、まだまだ凄い筋肉健在です。なんとか、なんとか良い産駒を出して貰いたいものです。必ずしも良血ではないトロットサンダーにとってこの先、種牡馬生活はますます辛いものになるかも知れませんが、凄い勢いでご飯を食べ、そしてご飯をぶちまけるくらい(笑)元気な姿を見れてとりあえず安心しました。今度は強いトロットサンダーの産駒を競馬場にでも見に行きたいものです。

 そして他の種牡馬をほとんど見ることもなく、着いて30分くらいしか経っていなかったのですが、札幌で宴会が私を待ってるため、離れるのを惜しみつつ、日高スタリオンステーションを後にしました。それでもトロットサンダーがジッとしてくれないため、大幅に予定の時間を越えてしまいました。そこからはダッシュです。さっき1時間かけた道のりを走って30分で着かなくてはなりませんでした。これも楽勝だと思っていたのですが、なんせカメラや本や一杯詰まったバックを持っていたもんですから走り難い!汗だくになりながら荻伏駅に着いたのは電車が来る3分前でした。ホント、ギリギリセーフです。その3分間でいくみんに連絡です。「会えた〜!」って言ったら「良かったねぇ〜♪」って言ってくれて、あ〜、長旅も終わったなぁ。って感じて、少し寂しい気も。何時になるかは分かりませんが、近い将来、今度はいくみんやぶきぶきと一緒に旅をしたいもんです。

 その後は、また日高本線で来た道を逆戻り。約4時間かけて札幌に到着。やっぱり疲れて電車の中ではほとんど寝てました。札幌に着いたのは19時5分頃。そこから宴会場に急いで行き、約30分の遅刻で宴会に合流しました。どうもすいません・・・みんなが「よう帰って来れたなぁ。日高地方、大雨とか津波とか一杯警報出てたぞ。」って。あっ、やっぱりね。だって凄かったもん太平洋・・・天候には恵まれませんでしたが、良い旅でしたよ。来年の慰安旅行も北海道にしましょうね、皆さん。(笑)  ・・・・・終わり

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